
冬の現場は、通常の作業手順や技術だけでは乗り越えることができない厳しさを備えている。降り積もる雪は視界を遮り、通路や資材を覆い隠し、機械の動作を鈍らせる。平常時の段取りがそのまま通用しない場面も多く、工期・品質・安全のすべてに影響を与えるものである。ゆえに、積雪期の現場では普段以上の準備と、作業者一人ひとりの的確な判断力が重要となる。
冬期の現場では「雪かきから一日が始まる」ことが珍しくない。出入口、通路、資材置場など、まず作業が行える環境を確保することが最初の任務である。この段階を軽視すると、足元不良による転倒や車両のスタック、機械の損傷など、思わぬ事故を招く危険が高まる。早朝の除雪や融雪剤の散布は、付帯作業のように見えて実は安全管理の根幹を成す工程である。
また、積雪と低温は機械設備の状態を大きく左右する。燃料の供給、油圧の立ち上がり、バッテリーの状態といった始業前点検を念入りに行うことで、機械トラブルの多くは未然に防ぐことができる。加えて、冬季は天候の変化が早く、路面状況も刻々と変わるため、現場全体での情報共有が欠かせない。朝礼や無線連絡により危険箇所や作業可能範囲を共通認識とし、状況に応じて作業計画を柔軟に見直す体制が求められる。
積雪期の現場は、環境に合わせた工夫と、作業者同士の協力によって安全と品質が確保されるものである。厳しい冬を乗り越えた経験は組織の力となり、技術と意識の底上げにも繋がる。まさに冬こそ、私たちが掲げる「正々の旗 堂々の陣」を体現する場であり、その姿勢こそが信頼を築く原動力であるといえる。
